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『速読ロード〜出発のとき〜』前編

『速読ロード〜出発のとき〜』前編


夏の終わりの空は、どこか切なくて、でも心の奥をくすぐるような青だった。

とある街の住宅街を、4人の男たちがピンクのTシャツを揃って着て歩いている。背中には、丸いロゴと「ピンクレンコンファミリー」の文字。まるで部活帰りの高校生のように、肩を並べて進む彼らは――全員40代を過ぎた、大人だ。


「行くぞ、今日は“伝説”の始まりの日だ」

リーダー格のレンコン社長が、少し照れくさそうに笑った。


4人は、それぞれ違う過去を持っていた。

会社で心が折れかけていた営業マン。子育てを終え、第二の人生を模索していた元工場作業員。長年の夢を叶えられず、自分にフタをしてきた銀行員。そして、人生のレールを外れ、自信を失ったサラリーマン。


共通点はひとつ。

「変わりたい」と心の奥で叫んでいたこと。


そんな彼らが出会ったのが、川崎にある「ビジネス脳トレ速読 川崎スクール」。最初は半信半疑だった。

「速読なんて、本当に人生が変わるのか?」

でも、体験レッスンのあと、全員が口を揃えて言った。

「何か…心が、スッと軽くなった気がする」


毎週のレッスンが始まった。最初は文字が目に追いつかない。集中が切れる。眠くなる。

でも、不思議と「やめよう」とは思わなかった。

スクールの空気には、大人がもう一度青春できる、あの懐かしい匂いがあったからだ。


レッスンの合間、4人はよく並んで歩いた。仕事や家族の話、失敗談、そして少しずつ語り始めた「本当の夢」。

汗をかきながら笑い合う時間は、学生時代の部活帰りのようだった。


ある日、レンコン社長が言った。

「速読ってさ、本を早く読むためだけじゃないんだよ。自分の“心”を読む練習なんだ」

その言葉が、4人の胸に深く刺さった。


レッスン100回を目前にしたある日。

「みんなで武道館に出よう」

突拍子もない提案に、一瞬、空気が止まった。

「…俺らが?」

「そうだ!俺たちが速読で人生を変えた大人として、ステージに立つんだ!」


その瞬間、4人の間に、確かに火が灯った。


それは、ただの学びではなく、

“人生をもう一度始める”物語の幕開けだった――


後編に続く